Olink Target 48 Cytokine: バイオマーカー探索(川崎病)

Olink Target 48 Cytokine は、マルチプレックスイムノアッセイ(48因子)を多検体(48検体)同時に行うことができる手法で、ILファミリーやCCLファミリーなど、『炎症プロセス』研究において関連性の高い微量タンパク質の絶対定量が可能です。
バイオマーカー探索として、本パネルが使用された論文「Elevation of IL-17 cytokines distinguishes Kawasaki disease from other pediatric inflammatory disorders. (川崎病の新しい診断用タンパク質バイオマーカー:IL-17)」を紹介いたします。

川崎病の新しい診断用タンパク質バイオマーカー:IL-17

Olink Target 48 Cytokine は、マルチプレックスイムノアッセイ(48因子)を多検体(48検体)同時に行うことができる手法で、ILファミリーやCCLファミリーなど、『炎症プロセス』研究において関連性の高い微量タンパク質の絶対定量が可能です。
バイオマーカー探索として、本パネルが使用された論文「Elevation of IL-17 cytokines distinguishes Kawasaki disease from other pediatric inflammatory disorders. (川崎病の新しい診断用タンパク質バイオマーカー:IL-17)」を紹介いたします。

川崎病は、幼児の全身性血管炎である。現状、3人に1人は現在使用されている診断基準をすべて満たしていない。未治療の場合、患者の25%以上が動脈瘤などの冠動脈異常を発症することが知られているため、より適切な診断基準の策定が求められている。また、ウイルス感染や、毒素媒介性疾患などの他の炎症性疾患が、川崎病と似た症状を示すことから、この問題はより複雑と化している。

そこで、筆者らは、Olink Target 48 Cytokineパネルを使用し、川崎病と他の発熱性・炎症性疾患と区別できる循環タンパク質を探索した。対照群として、健康な小児および3日間の発熱があるが川崎病の臨床症状が無い小児を、また実験群として、川崎病の小児、川崎病と似た症状を示す発熱性疾患の小児を設定し、血漿タンパク質を比較した。

対照群と比較して、実験群の患者では、多くの炎症性サイトカインの血漿レベルが上昇していることが明らかとなった。川崎病の患者では、IL-17A、IL-17C、IL-17Fが増加しており、これは他の疾患では見られない特徴であった。また、対照群と比較したIL-17Aの増加は、ELISAでも確認された。さらに、別のコホートを用いた検証実験でも、同様の結果が再現された。次に、川崎病の診断バイオマーカーとしてのIL-17A、IL-17C、およびIL-17Fの有用性を検討した。このうち、IL-17Aは、曲線下面積 AUC = 0.95であり、優れた診断性能を示した。また、冠動脈瘤による合併症の発症の観点からも検討したところ、冠動脈瘤患者20人のうち1人を除いた全患者で、 IL-17A、IL-17C、およびIL-17Fすべてが上昇していた。

以上の結果から、筆者らはIL-17ファミリーの増加が川崎病の特徴であり、川崎病と似た疾患とを区別するバイオマーカーとして活用できる可能性があると結論付けた。

Brodeur KE, Liu M, Ibanez D, et al. Elevation of IL-17 cytokines distinguishes Kawasaki disease from other pediatric inflammatory disorders. (2023) Arthritis & Rheumatology,

DOI: 10.1002/art.42680

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