免疫調節効果を増進する機能性食品:ユーグレナグラシリスEOD-1
微細藻類ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis )の特徴的なβ-グルカンであるパラミロンは、免疫機能を調節することが知られている。しかし、その作用機序やヒトでの使用に関するデータは限られている。
今回紹介する「免疫調節効果を増進する機能性食品:ユーグレナグラシリスEOD-1( High-parameter immune profiling and subjective health assessment of the immunomodulatory effects of paramylon-rich Euglena gracilis EOD-1: A randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study. )」では、 Olink Taret 48 Cytokineやマスサイトメトリー・フローサイトメトリー等の分析を用いることで、パラミロンを豊富に含むE. gracilis EOD-1摂取が単球の活性化とT細胞-抗原提示細胞間の共刺激分子の相互作用を強化することで、免疫細胞の応答能力を促進し、免疫防御と健康を増進することを明らかにした。
Olink study design / methods / results
Study design
層別ランダム化試験として、パラミロンを豊富に含むE. gracilis EOD-1(PM EOD-1)粉末およびプラセボであるセルロースを、各群50~65歳の参加者12名に対し12週間摂取させた。
Method
・Panel:Olink Target 48Cytokine
・Sample:serum
被験者に対し、介入前・後にそれぞれ採血
・統計解析:R
グループ比較 RankProd package
ORA clustureProfiler package
Result
PM EOD-1摂取群では、IL17A、IL17C、IL27、CSF2、FLT3LG、MMP12の計6因子が増加、CCL7、CCL8、IFNGの計3因子が減少していることが明らかとなった。この結果からOver-representation analysis (ORA)によるパスウェイ解析を行ったところ、 PM EOD-1摂取により、KEGG pathwayにおいてはIL17シグナル経路や、Th17細胞分化、JAK-STATシグナル経路等に関連するシグナルが、Reactome pathwayにおいてはIL12やIL17に関連するインターロイキンシグナル経路が変動することが明らかとなった。
関連 Assay
Mass cytometry/Flow cytometry
PM EOD-1摂取群ではT細胞や単球が活性化状態であることを表す、CD28発現の増加やCD80発現の維持が確認された。
ネットワーク解析(右図)
OlinkとMass cytometry/Flow cytometryの結果から、PM EOD-1摂取がCSF2とIL27をハブに持つ、単球-T細胞ネットワークを中心とした免疫細胞-サイトカインネットワークを活性化させることを明らかにした。
引用
Takanori Kawano, Atsushi Miura, Junko Naito, Norihisa Nishida, Ken-ichi Ishibashi, Yoshiyuki Adachi, Naohito Ohno, Yuji Naito. High-parameter immune profiling and subjective health assessment of the immunomodulatory effects of paramylon-rich Euglena gracilis EOD-1: A randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study. (2023) Journal of Functional Foods. Volume 109, October 2023, 105804.
DOI: 10.1016/j.jff.2023.105804.
この記事は © 2023 The Authors. Published by Elsevier Ltd.(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/) を改変して公開されています