MS用銀染色キット

質量分析に適したグルタルアルデヒド不含の高感度銀染色キットです。

商品説明

質量分析に適したポリアクリルアミドゲル電気泳動用銀染色キットです。
一般に、銀染色されたタンパク質はゲル内酵素消化されにくく、質量分析で検出しにくい欠点があります。本キットは、タンパク質の染色感度もその後の質量分析での検出も最大となるよう最適化しています。
また、一般に銀染色では染色性が悪い塩基性タンパク質でも高感度で染色できます。

特長

  • 高感度検出が可能 (BSAの場合 0.1ngを検出可能)
  • 質量分析に最適化 (グルタルアルデヒド不含)
  • 塩基性タンパク質に対しても効果的

テクニカルノート

MS用銀染色キットによる染色感度、MS分析への適合

標準タンパク質を染色したところ、0.1ng/バンドまでの染色を目視で確認する事ができました。
また、MS用銀染色キットおよび他社類似商品を使用して標準プロトコールに従って染色を行いました。その後、BSAのバンドをゲルから切り出し、XL-TrypKit (ST-3010)を使用してゲル内酵素消化処理し、脱塩処理してMALDI-TOF MS分析を行いました。
その結果、100fmol BSAの分析では、他社キットがヒットペプチド15、カバー率27%であったのに対して、弊社MS用染色キットでは、ヒットペプチド21、カバー率37%となり、効率のよい酵素消化が実施できていることが示唆できました。

図1 標準タンパク質(BSA)をSDS-PAGEで分離し、MS用銀染色キットで染色を行った。

図2 MALDI-TOF MS 分析の結果、他社類似キットより多くのペプチドを検出することができた。

SYPRO® Rubyとの染色性の比較

マウス肝臓抽出物(総タンパク量30μg)を、一次元目はpH3-10の等電点電気泳動、二次元目は12.5%TのSDS-PAGEにて分離し、MS用銀染色キット、SYPRO® Rubyタンパク質ゲル染色(Lonza、50562)の標準プロトコールに従って染色を行いました。
一般に銀染色では染色性が悪いとされる塩基性タンパク質でも SYPRO® Ruby染色より多く検出することができました。

Q & A

【Q1】 二次元電気泳動の場合でも基本プロトコールで行えますか?
【A1】 Carrier ampholytes(両性担体)を含む二次元電気泳動ゲルの場合、carrier ampholytes自身が銀染色されてしまうため、ゲルのバックグラウンドが上昇する場合がございます。Carrier ampholytesをできるだけ除去するために、長時間(数時間から一晩程度)の固定を行うことをお勧めします。ただし、固定工程を長くすると、特に低分子量タンパク質の検出感度が減少する場合もございますのでご注意ください。

【Q2】 CBB染色したゲルを再度銀染色する事は可能ですか?
【A2】 可能です。基本プロトコールで行ってください。

【Q3】 SYPRO Ruby染色したゲルを再度銀染色する事は可能ですか?
【A3】 可能です。基本プロトコールで行ってください。

【Q4】 バックグラウンドが高くなってしまいます。
【A4】 各工程の試薬希釈には、電気抵抗率が18MΩ・cm 以上の水をご使用ください。酢酸・エタノールは特級試薬をご使用ください。また、carrier ampholytes(両性担体)を含む二次元電気泳動ゲルの場合、carrier ampholytes自体のアミノ基が銀染色されるのでバックグラウンドが高くなる傾向があります。この場合、固定工程の時間を延長することでバックグラウンドを低く抑えることができます。

【Q5】 染色時の温度はどの程度がよいのですか?
【A5】 反応時の温度が20℃以下になると染色感度が著しく低下します。染色液および現像液は、必ず室温以上(25~30℃程度)に加温して使用して下さい。

【Q6】 染色工程を中断したいのですが。
【A6】 固定工程を最大1日程度まで延長できますが、固定工程を長くすると、特に低分子量タンパク質の検出感度が減少する場合もございますのでご注意ください。

【Q7】 固定工程でエタノールではなくメタノールを使用してもよいですか?
【A7】 メタノールを使用することも可能ですが、エタノールを使用した方がバックグラウンドが低くなる傾向があります。

【Q8】 検出感度を上げたいので、染色時間を延長してもよいですか?
【A8】 染色時間を延長することはお避けください。その後の洗浄工程で余剰な銀イオンを除去しきれずに、バックグラウンドが上昇してしまいます。

【Q9】 検出感度を上げたいので、現像時間を長くしてもよいですか?
【A9】 現像時間は10分間程度が最適です。むやみに長くすると、現像液中のホルムアルデヒドの作用によってタンパク質が架橋し、その後の酵素消化率・ペプチド回収率に悪影響となります。

【Q10】 ゲルが尿素を含んでいると影響がありますか?
【A10】 尿素の影響で染色がされにくくなります。固定時間を延長することをおすすめします。

【Q11】 バンドが白抜けしてしまいます。
【A11】 タンパク質量が多い場合に白抜けしてしまう場合があります。電気泳動に供するタンパク質量をご検討ください。

注意事項

  • 全工程で必ずディスポーザブル手袋を着用してください。
  • 液温は20~25℃程度で行ってください。
  • ゲルがトレイの底面に付着せずに常に動いているようにしてください。また、ゲルは溶液内に浸し、浮き上がらないようにしてください。
  • 激しすぎる振とうはゲルの破損の原因となりますのでお気をつけください。
  • 本キットは染色感度もその後の質量分析での検出も最大となるよう最適化しています。試薬の希釈倍率や反応時間は説明書通りにご使用いただくことをお勧めいたします。
  • 染色液使用後は、適量の塩酸を加えて沈殿させます。上澄みは中和・希釈して廃液し、沈殿は別途処理してください。

仕様と価格

商品コード商品名内容販売価格(税別)
SP-4020MS用銀染色キット(+脱銀染色液)1キット
[説明書] [SDS]
24,000円
SP-4021MS用銀染色キット1キット
[説明書] [SDS]
23,000円

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