PacBioシーケンス

超ロングリードの次世代シーケンス。

サービス概要

PacBioシーケンスは、従来の手法と比べて、圧倒的に長いリードを獲得できる手法になります。

最大リード長40kb、平均リード長10kb以上のシーケンスが可能であり、バクテリアの完全長ゲノム配列を作成する、リピート配列をシーケンスする、スプライシングバリアントの配列を読み分ける、といった従来の手法では対応が難しかった場面で有効です。
また、PCRを用いない、1分子レベルでリアルタイムに塩基を読み取るシーケンス法になりますので、増幅によるGCバイアスのリスクを排除できます。

現在、PacBioシーケンスでは、取得データ量の異なる3種の装置で対応が可能です。目的やご要望に応じて、最適な仕様でご案内をします。

PacBio Sequel:約4Gb程度/Cell
PacBio Sequel II :約50~100Gb程度/Cell

PacBioシーケンスを用いたアプリケーション例として、下記をご紹介します。

  • 完全長ゲノムDNAの作成を目指す
  • リピート配列のシーケンス
  • mRNAアイソフォームのリストアップ(Iso-Seq)

PacBioシーケンスの特徴

最大リード長 40kb、平均リード長 10kb以上

数千塩基レベルのリード長を獲得することができる「P6-C4 chemistry」は、ゲノム全体を調べ、様々な構造変化を網羅的に把握することに長けています。
また、完全長ゲノムを決定する際には、リードの短い従来法に比べ、コンティグの数を減らす(ギャップの数を減らす)ことができます。
さらに、mRNAなどの転写産物の全長を 1 リード内に収めることも可能であるため、高い精度でアイソフォーム(スプライシングバリアント)を同定することも可能となります。

99.999%以上の正確なコンセンサス配列

ライブラリー調製の工程で PCR 増幅を行わないため、増幅時のエラーや GCバイアスの影響を受けることなく、また、シーケンスエラーもランダムに発生するため、非常に精度の高いコンセンサス配列を得ることが可能です。
この利点により、例えばホールゲノムシーケンスで一般的に適用されるカバレッジ 「×30」 でシーケンスした場合、得られたロングリードのコンセンサス精度は 「99.999%」 を超えます。このため、de novo アセンブリやターゲットリシーケンスに非常に効果的です。

PacBioシーケンスが有効なアプリケーション例

完全長ゲノムDNAの作成を目指す

従来の次世代シーケンスで用いられる、数百塩基単位のショートリードをアセンブルして完全長ゲノムの構築を目指す方法では、多くのコンティグが作られ、たくさんのギャップ(隙間)ができていました。
それに対し、数十塩基の超ロングリードを獲得できるPacBioシーケンスでは、コンティグも少なく、ギャップが生まれにくいことから、完全長ゲノムDNAを目指す場合に非常に有効な手段となります。

取得データ量の目安は、100倍程度になりますので、推定ゲノムサイズが数Mb程度のバクテリアのゲノムシーケンスでは、RSII の使用がお勧めになります。
ゲノムサイズの大きい生物種になりますと、Sequel、Sequel II の利用をお勧めしております。

リピート配列のシーケンス

従来のショートリードを繋げる方法では、各リード同士が似た配列となるため、リピート領域の中の繋がり方や、リピートの数が判別しにくいため、埋まりきらない領域として残っていました。
それに対し、PacBioの超ロングリードであれば、リピート領域の入り口から出口までを1つのリードでカバーできるため、リピート領域全体を決定することが可能となります。

mRNAアイソフォームのリストアップ(Iso-Seq)

代表的な仕様

  • ご提供サンプル:total RNA (2 microG 以上)
  • ライブラリ調製:Sequel Iso-Seq Library Construction
  • シーケンス条件:PacBio Sequel、1 SMRT Cell (取得データ量の目安 20~25Gb)
  • データ解析:クラスタリング、マッピング

内容

ショートリードを繋げる従来の次世代シーケンサーを用いたRNA-Seqでは、アイソフォーム(スプライシングバリアント)の判別が困難でした。
それに対し、超ロングリードのPacBioシーケンスでは、1つのリードで mRNA 分子全体を網羅することができる(mRNAの全長を 1リードでシーケンスできる)ため、多様なアイソフォームが混在する場合でも、それらを全て見分けることができ、アイソフォームごとの発現解析を高精度に実施することができます。

納期

目安の納期は、サンプル受領から品質チェックの結果のご報告までが 1~2 週間程度、品質チェックの通過からシーケンスの完了までが 6~8 週間程度、データ解析が 2 週間程度の見込みです。

サンプル受領のタイミングや取得したデータによっては、納期が前後する場合がありますので、ご了承ください。

サンプル調製時の注意点

ゲノムDNAの場合

PacBioは、他の次世代シーケンサーと比べ、サンプル状態が結果に大きく影響いたします。
右表記載のサンプル条件をご確認いただき、サンプル量には余裕をもったご用意をお願いします。
また、電気泳動において smear が無いことが重要になりますので、ご確認をお願いします。

※アプリケーションによって条件が異なる場合がありますので、ご依頼に際しましては、ご相談をお願いします。

サンプル条件ゲノムDNAの場合
種類精製済みゲノムDNA
必要量8 μg以上
濃度50 ng / μL以上
溶媒Tris-HCI(pH8.0)
その他A260 / A280:1.8以上
A260 / A230:1.8以上

※PCR産物、コスミドなど、ゲノムDNA以外のサンプルの分析実績も多数ございます。その場合は、サンプル条件が上記と異なりますので、まずはお問い合わせください。

溶媒は、EDTA などが入ってない Tris-HCl(pH8.0) buffer を推奨します。
不純物(腐植酸、phenol 類など)が入っている可能性がある場合は、事前にご相談ください。