PacBioシーケンス

超ロングリードの次世代シーケンス。

サービス概要

PacBioシーケンスは、従来の手法と比べて、圧倒的に長いリードを獲得できる手法になります。

数十キロベースのロングリードのシーケンスにより、完全長ゲノム配列の作成、
全長転写産物の配列決定(Iso-Seq)、といった従来の手法では対応が難しかった場面で有効です。
また、PCRを用いない、1分子レベルでリアルタイムに塩基を読み取るシーケンス法になりますので、
増幅によるGCバイアスのリスクを排除できます。

本サービスでは、取得データ量、リード長・精度の異なる複数の仕様で対応が可能です。
目的やご要望に応じて、最適な仕様でご案内をします。

 PacBio Sequel       : 6-9Gb程度/Cell
 PacBio Sequel II(CLR Read) : 100 Gb程度/Cell
 PacBio Sequel II(HiFi Read) :15-20Gb程度/Cell

2022年11月から PacBio Sequel II(HiFi Read)の相乗りプラン(シェアシーケンス)のサービスを開始しました。
高精度ロングリードである HiFi Read では、De novo Assembly に必要な取得データ量の目安が、ゲノムサイズの20x以上となります。

 PacBio Sequel II(HiFi Read, 100Mb):ゲノムサイズ 5Mb未満のバクテリア向け
 PacBio Sequel II(HiFi Read, 200Mb):ゲノムサイズ10Mb未満のバクテリア向け

PacBioシーケンスの特徴

ロングリード

数十キロベースのロングリードのシーケンスは、ゲノム全体を調べ、様々な構造変化を網羅的に把握することに長けています。
また、完全長ゲノムを決定する際には、リードの短い従来法に比べ、コンティグの数を減らす(ギャップの数を減らす)ことができます。
さらに、mRNAなどの転写産物の全長を 1 リード内に収めることも可能であるため、高い精度でアイソフォーム(スプライシングバリアント)を同定することも可能となります。

高い精度

ライブラリー調製の工程で PCR 増幅を行わないため、増幅時のエラーや GCバイアスの影響を受けることなく、また、シーケンスエラーもランダムに発生するため、非常に精度の高いコンセンサス配列を得ることが可能です。
得られたロングリードのコンセンサス精度は 「99.999%」 を超えます。このため、de novo アセンブリやターゲットリシーケンスに非常に効果的です。

高精度ロングリード HiFiリード について

Circular Consensus Sequencing (CCS) を用いてHiFiリードを生成することで、取得データ量は制限を受けますが、より高精度なロングリードのデータを取得することが可能です。

高精度ロングリードである HiFi Read では、De novo Assembly に必要な取得データ量の目安が、ゲノムサイズの20x以上となります。

 PacBio Sequel II(HiFi Read, 100Mb):ゲノムサイズ 5Mb未満のバクテリア向け
 PacBio Sequel II(HiFi Read, 200Mb):ゲノムサイズ10Mb未満のバクテリア向け

PacBioシーケンスが有効なアプリケーション例

完全長ゲノム配列の作成(全ゲノムシークエンシング)

従来の次世代シーケンスで用いられる、数百塩基単位のショートリードをアセンブルして完全長ゲノムの構築を目指す方法では、多くのコンティグが作られ、たくさんのギャップ(隙間)ができていました。
それに対し、数十キロベースのロングリードを獲得できるPacBioシーケンスでは、コンティグも少なく、ギャップが生まれにくいことから、完全長ゲノム配列の作成を目指す場合に非常に有効な手段となります。

リピート配列のシーケンス

従来のショートリードをアセンブルする方法では、各リード同士が似た配列となるため、リピート領域の中の繋がり方や、リピートの数が判別しにくいため、埋まりきらない領域として残っていました。
それに対し、PacBioのロングリードであれば、リピート領域の入り口から出口までを1つのリードでカバーできるため、リピート領域全体を決定することが可能となります。

全長転写産物の配列決定(Iso-Seq)

従来のショートリードをアセンブルする従来の次世代シーケンサーを用いたRNA-Seqでは、アイソフォーム(スプライシングバリアント)の判別が困難でした。
それに対し、ロングリードのPacBioシーケンスでは、1つのリードで mRNA 分子全体を網羅することができる(mRNAの全長を 1リードでシーケンスできる)ため、多様なアイソフォームが混在する場合でも、それらを区別して、特性を評価することが可能です。

mRNAアイソフォームのリストアップ(Iso-Seq)

代表的な仕様

  • ご提供サンプル:total RNA (2 microG 以上)
  • ライブラリ調製:Sequel Iso-Seq Library Construction
  • シーケンス条件:PacBio Sequel、1 SMRT Cell (取得データ量の目安 20~25Gb)
  • データ解析:クラスタリング、マッピング

内容

ショートリードを繋げる従来の次世代シーケンサーを用いたRNA-Seqでは、アイソフォーム(スプライシングバリアント)の判別が困難でした。
それに対し、超ロングリードのPacBioシーケンスでは、1つのリードで mRNA 分子全体を網羅することができる(mRNAの全長を 1リードでシーケンスできる)ため、多様なアイソフォームが混在する場合でも、それらを全て見分けることができ、アイソフォームごとの発現解析を高精度に実施することができます。

納期

目安の納期は、サンプル受領から品質チェックの結果のご報告までが 1~2 週間程度、品質チェックの通過からシーケンスの完了までが 6~8 週間程度、データ解析が 2 週間程度の見込みです。

サンプル受領のタイミングや取得したデータによっては、納期が前後する場合がありますので、ご了承ください。